FLOM2013年04月号 目次

◆トピックス 販路開拓をサポートする取り組み

  事例企業:福井貨物自動車株式会社

◆嶺南企業探訪  吉田桶樽商店

技術開発部通信

自ら考え・動く人が育つ職場の作り方

KUMANDOヒルズ通信

アジアを攻める!

トレレポ2012

デザイン振興部REPORT

2013.04 TOPICS 販路開拓をサポートする取り組み

 当センターが実施する『四半期別景気動向調査(2012年10-12月期)』において、2013年に強化する経営分野について県内企業に質問したところ、「営業力・販売力の強化」を挙げる企業が6割を超えて最も高い結果となりました。中小企業の経営課題の中でも、特に販路開拓を重視している姿勢が伺えます。
 今回は、中小企業がどのような手段で販路開拓を進めているのか、そして、国内外の販路拡大をサポートする公的機関や企業の支援機能について、トレンド情報をお伝えします。


  グラフは、海外に販売拠点を保有している輸出企業と、保有していない輸出企業に分け、中小企業の効果的な海外販路開拓の取り組みの内容を比較したものです。これによれば、販売拠点の有無に関わらず、「現地向けの商品開発」、「研究開発を通じた自社製品の差別化」などを挙げる割合が高く、自社製商品の充実・差別化を重要視していることが伺えます。一方、販路開拓の手法としては、「販売代理店の活用」、「展示会・商談会の活用」、「商社の活用」など、各種制度の活用や企業のサポートにより販路開拓に取り組んでいる企業が多い結果となりました。
 では、販路開拓を支援する最近の取り組み事例をみてみましょう。

効果的な海外販路開拓の取組(複数回答)
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現地の人脈を活かした販路拡大

  ふくい貿易促進機構は、上海や香港において信頼できる有力仕入責任者をネットワーク化し、現地の人脈を活用して中国市場での販路拡大を図る『福井産品応援者バンク』を昨年6月に立ち上げた。ふくい貿易促進機構スタッフが応援者に「県産品情報」を提供するとともに売り込みを実施し、県産品採用の働きかけを積極的に行うほか、県内企業が中国において出展する展示会への応援者の参加依頼や、応援者が購買したい商品や技術に関する情報をいち早く県内企業に提供している。去る3月19日には、同バンクに登録している上海、香港のバイヤーを招いて、県内企業とのビジネスマッチングを開催した(12ページで概要を紹介)。


嶺南産品の販路拡大

 嶺南地方は、原子力発電所の運転停止により、売上げや消費が低迷しており、県と各関係機関との連携により、嶺南地方の活性化に向けた支援が実施されている。そのうち、嶺南企業の販路開拓をサポートする主な施策は次のとおり。

◆嶺南地方の産品を嶺北地方の小売業者に配送する流通ルートを新設。県が配送費を負担し、福井貨物自動車(株)(福井市)が嶺南6市町の各事業者を回り商品の集荷、嶺北への配送を行っている。(3・4ページで紹介)

◆大手インターネット通販サイト「楽天市場」に嶺南地方の特産品を集めた「『ふくい若狭路』名店街」を開設。人気投票の実施などで全国に向けて認知度を高め、売上増を目指している。

◆当センターが実施する『ふくいの逸品創造ファンド』において嶺南企業特別支援枠を新設。嶺南企業5件の事業を採択し、販路開拓を資金面で支援している。


未利用資源を活用した商品づくり

  北海道札幌市の百貨店でフレンチ惣菜ショップを手掛けている(株)シーピーエスは、規格外品やこれまで廃棄処分されてきた部位といった未利用資源を活用した商品開発に取り組み、付加価値を付けることで正規価格に近い仕入れを実現。生産者の手取り収入増加に繋げている。また、小回りの利く商品開発、商品提供に重点を置いたことで、大手では量が少なく扱えない食材へ対応したり、仕入れ量が少なく食材の獲得に悩んでいた店舗数の少ない飲食店などの新たな取引先を開拓した。(中小企業基盤整備機構の資料から)


インドネシア―日本間の物流提携

 経済成長著しいインドネシアへの関心が県内からも高まる中、倉庫、運輸業の福栄倉庫(福井市)は、2012年6月、インドネシアの運輸業者との間で物流業務に関する提携を交わした。日本からは繊維関係の産業機械、インドネシアからは繊維機械や家具などの輸送ニーズを見込んでおり、両国での地域密着型営業の展開により、細かな物流ニーズをくみ取っていく。(当センター「新聞記事DB」から)


ネットによる直接発注で顧客開拓に寄与

 業務用鮮魚販売の松田水産(あわら市)は、この春、料亭や旅館が卸売市場の仲卸業者に商品を直接注文できるインターネットサービスに乗り出す。従来は、料亭・旅館と仲卸の間に鮮魚店が仲介しており、料亭・旅館の後払い方式(対鮮魚店)、鮮魚店の現金仕入れ(対仲卸)により、鮮魚店の代金立替負担が重荷となって顧客開拓が困難だった。同サービスは、料亭・旅館が中卸に直接発注(商品代金支払)し、鮮魚店に加工・配送料を支払うシステムであり、鮮魚店が抱える課題がクリアでき、販路開拓に寄与できると期待している。(「新聞記事DB」から)


AEO(Authorized Economic Operator)制度で税関手続を簡素化

  国際物流におけるセキュリティ確保と円滑化の両立を図り、国際競争力を強化するため、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者に対し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度で、企業の販路拡大に寄与するものとして期待されている。2006年に輸出者を対象にAEO制度の導入が開始されて以降、輸入者、倉庫業者、通関業者・運送者、製造者に対象が広がっている。現在、福井貨物自動車(株)が北陸地方の企業としては初のAEO認定通関業者の取得を目指して準備中。(3~4ページで紹介)



来年度から、本誌『FLOM』は新たな情報誌に生まれ変わります!

新しい情報誌にはこんな特長があります!

◆注目の商品やサービス、頑張る企業の取り組みなど、事例をたくさん紹介します。
◆タイムリーな話題や掘り下げたテーマを紹介します。
  たとえば・・・
 ・大都市圏での販路開拓やグローバル化など、県外・海外にスポットをあてた情報
  ・県外で先端的な取り組みをしている企業事例
 ・若手やシニアの力が発揮されている職場や従業員目線による組織のあり方 など
◆経営者から従業員の方まで幅広く関心を持っていただけるような企画を設けます。
  たとえば・・・
  ・県内出身経営者によるインタビュー列伝
 ・読者から募集した企業・商品・お店の紹介  など

次号は2013年5月27日発行予定!

  発行回数は毎月(年12回)から隔月(年6回)に変更し、奇数月25日頃の発行とさせていただきます。
  また、これまでと同様、ホームページやFacebookでも情報を公開していきます。
 今後とも引き続きご愛読いただきますよう、よろしくお願いします。

2013.04 TOPICS 販路開拓をサポートする取り組み
      福井貨物自動車株式会社

北陸初のAEO通関業者を目指す

  1928年の創業以来、県内における物流事業者のパイオニアとしてさまざまなサービスを展開している福井貨物自動車株式会社。同社はこのほど、国際貿易における安全確保と貿易円滑化を目的とするAEO制度における認定通関業者(AEO通関業者)の認定取得に向け、全社をあげてプロジェクトを進めています。同社はもとより、県内事業者にもメリットがもたらされるというAEO制度。認定申請に至った背景を、国際部通関グループ係長(専任通関士)・竹田和弘氏と、社長室課長国際統括管理担当・川岸道子氏に伺いました。

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国際貨物のフォワーディング及び通関を担う事務所。
AEO認定通関業者の認定取得に向け、ハイレベルな仕事に対する社員の意識も高まってきました。


申請への取り組みそのものが
仕事の質の向上に寄与

  AEO(Authorized Economic Operator)制度とは、貿易の円滑化とセキュリティ強化の両立を目指す国際的な取り組み。2001年9月にアメリカで起きた同時多発テロを契機に、世界税関機構(WCO)で採択された『AEOガイドライン』に沿って、世界各国で導入されています。

 日本では関税法に基づき、セキュリティとコンプライアンス(法令遵守)体制を整備した事業者を「AEO事業者」として承認・認定する制度を制定。これにより、▽貨物の国内到着前に輸入許可を受けられる▽貨物の申告と納税を分け後日一括で行うことができる(以上、特例輸入者の場合)――といったメリットを受けられるようになっています。

 同社が、AEO制度の一つである「認定通関業者」の認定取得に向け取り組み始めたのは2011年秋のこと。1980年に通関業務を始めて30年を経る中で、事業環境がめまぐるしく変化し、とりわけAEO制度に対する認知度が輸出入業者の間で急速に高まってきたことが背景にあります。こうした時代の要請に応えるために、通関事業者としてのAEO取得を目指そうと、川岸氏をリーダーとする7人のチームで申請に向け書類作成や社内体制作りを進めていきました。川岸氏は振り返ります。

「大変だったことの一つに、通関業務に関する手順をすべて書面化する作業がありました。通関業の許可は営業所単位に行われるため、これまで、営業所によって微妙に手順が違うということがありました。AEOの認定は事業者に対するものなので、営業所間の違いを統一する必要があったのです」

 一方で、そうした一連の作業が社内のワークフローの見直しにつながった、という成果も生みました。竹田氏は、むしろその成果を得たことが、この取り組みの最大の収穫だったと語ります。

「AEOでは貨物のセキュリティはもとより、情報や人的セキュリティの確保も求められます。7人のチームで始めた動きが進むにつれ、社内にもセキュリティやコンプライアンスに対する意識が高まり、社員一人ひとりに『高いレベルの仕事をやらなければ』という意識が芽生えてきたように感じます」

日本のAEO制度 -サプライチェーンのセキュリティ確保-
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(資料出所:財務省)


地域密着型の企業活動で
スムーズな物流を支援

 さて、同社のこうした取り組みは、県内のさまざまな事業者にとってどのような利点をもたらすことになるのでしょうか。材料や物品を輸出入している事業者に通関手続きにおけるリードタイムの短縮化がもたらされる、と前置きした上で、竹田氏はこのように解説してくださいました。

「直接的に国際物流に関わっていない事業者さんも、大手企業からの受託生産をしているケースは多いかと思います。そうした事業者さんにも、AEOは無縁のものではなくなるはずです。現在、国内の大手企業は、AEO制度の『特例輸入者』『特定輸出者』の承認に向けて積極的な動きを見せています。同制度には業務委託先への監督義務もあり、こうした枠組みの中に否応なく取り込まれていくことが考えられるからです」

 県内企業の物流を支えるという点では、昨年12月に県からの受託で取り組んでいる〈嶺南産品の嶺北への配送事業〉の開始も一つのトピック。これは、景気の低迷や原子力発電所の運転停止という状況にある嶺南地域の活性化を目的に、配送費を県が負担して嶺北まで商品を運ぶもの。利用者からは「これまで嶺北で商品を売る機会がほとんどなく、販路拡大につながるきっかけになる」との声も寄せられています。

  AEOへの取り組みや嶺南の事業者への支援などを挙げながら、これまで以上に〈地元企業にとっては心強い存在〉になりたい、と抱負を語る両氏。まさに、同社の目指す理想的な姿「〝北陸の雄〟として、誇りと責任のある会社」を体現している動きといえるでしょう。

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県からの委託により嶺南産品の嶺北への配送を開始しました。
販路拡大へのきっかけになるとの期待が寄せられています。

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国際部通関グループ係長(専任通関士) 竹田和弘 氏(左)
国際統括管理担当 川岸道子 氏(右)

●企業情報●
福井貨物自動車株式会社

福井市西開発3-204-3
電話:0776-54-3000
代表者:清水則明 氏
事業内容:貨物自動車運送事業、通関業、倉庫業、整備サ-ビス工場、民間車検場、保険代理業
資本金:4000万円
従業員数:450名

2013.04 嶺南企業探訪(6)/吉田桶樽商店

国産材使用の食品向け小型樽を
ネットの積極活用で全国へ発信

  嶺南地方の名産品として知られる『小鯛のささ漬け』。その存在を特徴づけているのが、3枚におろされた小鯛がおさまっている小さな樽です。小浜市に本社を置く吉田桶樽商店は、その樽を国産材で製造している全国でも数少ない企業。長年地元向けの製造・販売を続けてきた同社は、約1年半前にウェブでの直販を開始、着実に実績を重ねているところです。ウェブ活用に至った背景とその反響について、営業・経理担当 チーフマネージャーの吉田近氏に話を伺いました。

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吉田桶樽商店では、安全・安心・高級感にこだわり、高級建材用国産杉を使用。
『小鯛のささ漬け』に同店製の樽が使われています。

ウェブ活用の手始めに
展示会で生の声を収集

 同社が得意とする小ぶりの樽が普及しはじめたのは、昭和40年代のこと。地方の珍味としての笹漬けに注目が集まり、一部工程の機械化と、現在もポピュラーなプラスチック製の〈タガ〉を採用したことで大量生産が可能となりました。1927年創業で、かつては風呂桶や醸造樽も作っていたという同社の歴史において、いくつかの転換点を挙げるとすれば〈機械化とプラ製タガによる大量生産〉があるでしょう。
 今回紹介するウェブでの情報発信も、同社にとっての大きな転換点です。そのプロジェクトに尽力しているのが、10年以上にわたり同社の管理部門を担当している吉田氏です。

「取引のある銀行の方から、以前より直販をおすすめするお話はありました。とはいえ長い間、問屋さんを通じての商売、というスタイルだったのでお客さんの声を直接聞く機会がなかったんです。そこでまず、展示会に出展して〈木樽に対する消費者の声〉を拾うことから始めていきました」

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1個1個丁寧な手作業で樽づくりに励みます。


サイト開設1年半で
35道府県に納入実績

 吉田氏が出展先に選んだのが、ふくい産業支援センターで毎年9月に行われる『ふくい元気企業フェア』でした。2011年、初めて同フェアに参加した同社は来場者に向けたアンケートを実施、145件の回答を得ました。

「『贈答用・お土産用に、木製樽に入った商品とプラスチック製樽に入った商品が並べてある場合、どちらをお選びになりますか?』という質問をしたら、木樽をお選びになるという回答が約83%あったんです。直販体制を進める自信がついて、ホームページ制作という段階に進むことになりました」

  贈る側のあたたかな気持ちを、高級感とともに届けることのできる木樽。その直販・情報発信のツールとして選んだのが、グーグルが全国の中小企業向けに展開するサービス『みんなのビジネスオンライン』でした。吉田氏はこのサービスを使い、ほとんど自力でサイトを制作。ブログやフェイスブックページとも連動させ、コンテンツの充実と細やかな情報発信を進めていきました。
  「小さい樽の製造会社が全国的にも珍しいこともあり、おかげさまで、全国35道府県に弊社の木樽をお届けすることができています。容器に気を配るオーナーさんだけに、食に対する思いの強い方が多いですね」。小浜市の食育サポーターを長く務めている吉田氏も食に対する思い入れが人一倍強く、商談のときも話が盛り上がるそうです。

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若狭一体の地域活性化を目指し、小浜市の「はまかぜ通り商店街」と市内の中小企業が
『みんなのビジネスオンライン』を使ったホームページを作成。
その取り組みについてプレスにも発表しました(2011年3月 はまかぜプラザにて)。

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『みんなのビジネスオンライン』でのPR動画。
画像をクリックすると紹介HPへリンクします。


インテリア雑貨など
個人向け市場も視野に

 
  夫であり同社3代目の吉田嘉男氏が製造現場を率いて樽作りに打ち込み、奥様の近氏がウェブを通じての情報発信に集中する。うまく役割分担をして二人三脚で取り組んだ結果、サイト開設からわずか1年半で〈届けていない都県の方が少ない〉という実績につなげることができています。

「企業のネット活用に関する勉強会にもよく参加し、SNSなどを通じて全国の方々とつながることができました。弊社は現状、個人の方とのお取り引きはほとんどありません。でも、私の書いたブログやフェイスブックページへの書き込みをシェア(転載)してくださって、サイト流入の増加につながっている。サイトを育てることが、自分や自社を育てることにつながっているのを肌で感じると、『成長は子どもだけの特権じゃない』と思います」

 今後は製品の特徴を生かし、個人向けインテリア雑貨への展開や海外展開も進めていきたい、と意欲を見せる吉田氏にウェブ活用の秘訣を尋ねてみました。

「ウェブを活用できても、お客様への対応がまずければ台無しになってしまいます。そうした事態にならないよう、まずは生産計画などの数値を社内で共有化し、受注の仕組みをしっかりと整えることが大切でしょうね。そうした手順をはじめさまざまなことを教えてくださった先生方には、今もメールやフェイスブックでご指導いただいていて、感謝の思いでいっぱいです」

  年内の目標は、残り12都県に樽を届けて木樽の良さをより多くの方に知ってもらうことです!と、吉田氏は力強く締めくくってくださいました。

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営業・経理担当 チーフマネージャー:吉田近氏(左) 代表:吉田嘉男氏(右)

●企業情報●
吉田桶樽商店

小浜市小浜日吉51-1
代表者:吉田嘉男氏
事業内容:業務用小型桶・樽の製造・販売
従業員数:5人
TEL:0770-52-2132

2013.04 技術開発部通信
<第12回>

地域イノベーション戦略支援プログラムセミナー
「植物工場用エネルギーシステム実証研究の取り組み」
開催報告


 当センター技術開発部では、文部科学省支援のもと、環境と安全に配慮した「グリーン&セーフティーイノベーション」創出を目的とする「イノベーションシステム整備事業」について昨年度から産学官と金融機関が一体となって実施しており、前号ではスマートエネルギー実用化に向けた取り組みに関する第1回セミナー開催の報告をいたしました。
 今回は、植物工場用エネルギーシステム実証研究に関する科学技術情報の提供および人的交流を目的とした「地域イノベーション戦略支援プログラム 第2回セミナー」の開催内容を報告します。


開催日時 平成25年2月22日(金)

開催会場 福井市地域交流プラザ(AOSSA)(福井市大手3丁目12-20)


講演1 人工光型植物工場-環境制御による高品質作物生産-

講師:千葉大学大学院 園芸学研究科 教授 後藤 英司 氏

  人工光源での植物生育に関する研究やこれからの植物工場の方向性等について、後藤教授に解説・紹介していただきました。

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千葉大学大学院後藤氏講演

人工光型植物工場の特長

 施設園芸(植物工場)では、鮮度の保持が難しい作物や露地栽培がしにくい作物(野菜類、果樹、花卉等)の生産が行われています。
 人工光型植物工場の特長は、外部の天候に左右されず安定して均一な作物が生産できる、栽培期間を短縮でき年間生産量を高められる、閉鎖空間であるため害虫混入が無く無農薬での栽培が可能、などであり、外食産業に対応した作物の生産等が行われています。


植物工場における光源について

 植物工場で一般的に使われているのは高圧ナトリウムランプであり、電気-光変換効率が高く、白色系光源よりも光合成効率が高いことが特長です。その他光源として、セラミックメタルハライドランプがあり、高圧ナトリウムランプでは育たない作物に適している(ほとんどの植物の育成が可能)といった特長があります。
 現在、千葉大学では発光ダイオード(LED)を用いた植物生育の研究を行っており、LEDでも高圧ナトリウムランプと同等の生産ができるレベルに達しました。


高品質作物の生育制御について

 植物には、適度な環境ストレス(環境の変化)を与えると有用成分(ビタミンや機能性成分等)の含有量を増加させるといった機能があります。
  その機能を利用して、人工光源の制御(青色光の増加)によるサニーレタスのアントシアニン増加や、人工光源の紫外線付加によるモロヘイヤのクロロゲン酸濃度の増加が確認できました。
 植物が持つ機能と工場的生産システムを活用する栽培方法として、赤色光で光合成を促進させた後、収穫直前に紫外線や青色光で有用成分を増加させるといった手法が考えられます。


施設園芸・植物工場の方向性

  植物工場における作物育成の研究が進むことで、そこで生産される作物は栄養成分(ビタミン、ミネラル、糖分)よりも機能性成分を高めたものへシフトし、農学、医学、薬学等との連携により、健康産業への参入に向けた研究が進められることが期待されます。
 そして、人口が多い国や地域に推進することで、施設園芸が競争力のある輸出産業になりうると考えられます。



講演2 地中熱を用いた農業用ハウス空調システムの可能性

講師:九州大学大学院 工学研究院 地球資源システム工学部門 准教授 藤井 光 氏

  地中熱を利用したハウス栽培の研究や地中熱利用の可能性等について、藤井准教授に解説・紹介していただきました。

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九州大学大学院藤井氏講演

地中熱利用の現状

  地中熱ヒートポンプシステムとは、地盤の熱を井戸から採取して利用する省エネ技術で、冷暖房、融雪、給湯等に利用されます。
 地中熱ヒートポンプシステムは、空気熱源ヒートポンプに比べ電力消費が少ないこと、化石燃料を利用しないので二酸化炭素排出を抑制すること、ヒートアイランド現象を抑制する、といった特長がある一方で、高い建設コスト、低い認知度が課題となっています。


地中熱利用に関する研究

 九州大学では、2007年から垂直型地熱交換器を用いて地中熱利用に関する研究を行っており、二酸化炭素排出量とエネルギーコストの削減が確認でき、熱伝導率の高い地盤への導入が有効であると分かりました。一昨年からは、地中熱ヒートポンプシステムの初期コスト低減と効率化に関する技術開発を行っており、広い敷地では、水平型地熱交換器の導入で建設コストを6割以上削減できることが分かりました。


ヒートポンプシステム(開放式・湧水利用)の概要

  水平型ヒートポンプシステムが使えず、熱伝導率の低い地盤での地中熱利用の方法として、開放式(地下水くみ上げ式)と湧水利用のヒートポンプシステムがあります。
  前者は、熱交換量が垂直型に比べ非常に大きく、熱源温度が安定しているので消費エネルギーに対する発熱量が大きいといった特長があり、地下水が容易にくみ上げられる場所では有効なシステムです。
 一方、後者は、開放式と同様に熱源温度が安定しているので消費エネルギーに対する発熱量が大きいといった特長に加え、掘削費や揚水ポンプ運転費が不要なため、湧水が利用できる地域では有効なシステムであると言えます。


農業用ハウスへのヒートポンプシステム利用の可能性

  地中熱ヒートポンプシステムは農業用ハウス空調での省エネに有効であると考えられます。
 地盤の熱伝導率が高い、敷地が広い、地下水が利用可能である、湧水があるといった条件の一つでも該当すれば、ヒートポンプシステムを低コストで導入できる可能性があり、システムの利用促進が重要になると考えられます。


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名刺交換交流会

==連絡窓口==
公益財団法人ふくい産業支援センター 
技術開発部 プロジェクト研究推進室 室長 上山明彦
TEL.0776-55-1555 FAX.0776-55-1554

2013.04 【隔月連載】 自ら考え・動く人が育つ職場の作り方 <第6回>

やる気がずっと持続する新人スタッフの受け入れ方

 4月というと多くの職場では、ちょうど新入社員や新規のアルバイトを採用し、迎え入れる時期かと思います。あなたの職場では、それらの新人を迎え入れる際、どのようにして、ウェルカムの気持ちを伝え、迎え入れていますでしょうか?

 私は、もともとアパレル専門店に勤めていました。その企業に入社して、初めて社会人として出勤した店で出迎えてくれたのは、真っ暗な店内で「非常出口」の緑色の光で薄っすらと照らされたマネキン人形です。人ではありませんから、当然ですが歓迎の言葉は掛けてくれませんでした。

  ただ、出迎えてくれるのが人であったとしても、歓迎の言葉や気持ちを新人スタッフにきちんと伝えているケースは案外少ないようです。

 私がかつて経営していたセブン-イレブンのFC店のアルバイトスタッフから聞いた話ですが、以前勤めていたバイト先で初出勤の日に店に行くと、「あなた誰?」という目で、その店の従業員から見られ、嫌な思いをしたという話を聞いたことがあります。

  なぜ、そういうことになったのかというと、初出勤の日にちょうど店長さんがお休みで、新規のバイトが出社してくるということを他の従業員が誰も知らなかったからなのです。

 ここまで酷い話は稀なのでしょうが、一般的には、新人スタッフの初出勤日には朝礼で簡単に紹介され、その後、ちょっとした歓迎会を開いて終わりというケースが多いのではないでしょうか。

  そういう中で、素敵な新人の迎え入れを行っている店がありますのでご紹介しましょう。福岡市の美容院"アンドゥドゥ"(林宏貴さん経営)では、新人スタッフの初出勤日に、ちょっとしたサプライズを用意して新入社員を歓迎しています。

 どんなサプライズを準備しているのかというと...

  林さんの店は2フロアーの構造になっており、その日は新人スタッフが出社する前に、全スタッフが出社し、2階に集合することになります。

 その後、新人スタッフが出社した際に、先輩スタッフが1階にお出迎えに行き、2階へとエスコートします。そうして、新人スタッフが階段を上っていくと、全スタッフから「入社おめでとう!」と祝福の声が掛かり、それと同時に歓迎のクラッカーが鳴らされるのです。

  船の出航のときのドラの音。結婚式で響く教会の鐘の音。マラソンの開始を告げる号砲の音...etc.
 何かが始まるときには、サインとなる音が鳴らされるものです。社会人としての船出の際に、林さんの店ではそれが歓迎のクラッカーの音ということになるのです。

 また、それだけでは終わらず、その後は近所の美味しいパン屋さんで買ってきた焼きたてパンをみんなでワイワイ言いながら食べる朝食会が始まります。

  パンを片手に色々と話をしていくことで、和気あいあいとした雰囲気にお店全体が包まれていきます。そうすると、初出勤で緊張していた新人スタッフの気持ちも和らいできて、リラックスした状態で仕事を始めることができるのです。

 このように初出勤の日に歓迎をされたという気持ちは、新人スタッフの心にしっかりと刻まれます。また、それと同時にこういうセレモニーを行うことで、既存のスタッフにおいても、これから、新人スタッフをみんなで大切に育てていこうという気持ちが生まれます。

  林さんの店でこのような歓迎セレモニーを始めたのがちょうど7年前。当時の新人は、今ではお店のリーダー格に昇格しています。

 そういうウェルカムの気持ちを受け取ったスタッフは、次の年に入ってくる新人スタッフにも、自分と同じような体験をさせてあげたいという気持ちが芽生えます。また、先輩スタッフや経営者に対して感謝の気持ちを持ち続けることにもなります。

  それだけではなく、お客様に対しても自分がされたようなウェルカムの気持をもって接することができるようにもなります。お客様に気配りをしなさいといくら口で言ったとしても、自分自身がそういうことをされた経験がなければ、なかなか実行できるものではありません。逆に、体験したことであれば容易に体現できるものなのです。

 初出社の日にこれらを経験することで、周りのスタッフにも気づかいができ、お客様にもウェルカムの気持ちをもって接していくことができるようになるのです。

  ただ、大々的にサプライズイベントを行なうということはできないという場合、ウェルカムメッセージを色紙やカードに書いて、それを出勤初日に手渡すということだけでも、新人スタッフにはその気持は伝わります。

 ツールや形式は職場の状況に合わせて、色々とやり方はあってよいと思います。大事なのは、「あなたが入社することを、みんなで心待ちにしていた」という気持ちを伝えることです。そうすることで、新人スタッフは自分の居場所を職場の中で見つけることができますし、初めから持っている力を存分に発揮することができるようになるのです。

  人が相手から受ける第一印象というものは、数ヶ月間持続するといわれています。新人スタッフとのコミュニケーションが始まる出勤初日の関わり方を大切にしていくことは、その後のスタッフとの関係を良好にすること、及び、モチベーションの維持において、とても大切なことだといえます。



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●執筆者紹介●
メンタルチャージISC(インストアコミュニケーション)研究所 代表 
岡本文宏 氏
日本初の商店主専門ビジネスコーチ。スタッフに"任せて"業績を"上げる"実践法を教える専門家。アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て2005年メンタルチャージISC研究所を設立。延べ2800時間を経営者とのコーチングに費やし、スタッフが自ら考え動く人材の採用、育成、活用法を提供。商工会議所、企業での講演活動にも注力。著書『もう人で悩みたくない!店長のための取る・育てる技術』、雑誌『商業界』など執筆多数。
Facebookページ

筆者・岡本文宏の新刊本が発売されました。
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「仕事をまかせるシンプルな方法~9割がパート・アルバイトでも繁盛店になれる!」
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2013.04 KUMANDOヒルズ通信
<第12回>株式会社グルーバ

超小型STBで
新市場の開拓を目指す

 毎月、福井県産業情報センタービルに入居して成功を目指している事業者を取り上げてきた本コーナーも今回で最終回となりました。今回はこの3月に入居された株式会社グルーバ(代表取締役社長:木村幸夫氏)をご紹介します。


小型STB&関連システムを開発

 同社は福井市出身の木村社長が、2009年に東京都港区で創業した映像関連のシステムを中心に開発を行っている企業。特に最近は小型のセットトップボックス(STB)=同社製品名「Smart Stick toto」とその関連システムを開発、企業向けのカスタマイズ販売に力を入れています。
 同製品は、この2月に、ソフトバンクが提供するSmart TVに採用されるなど大きな手応えを感じており、これからはソフトバンク社以外の企業・サービスにも売り込みを図っていく予定となっています。

スマートフォンをリモコン代わりに

 同製品は、手のひらサイズの超コンパクトなSTBで、テレビのHDMI端子とUSB(電源供給用)に接続するだけで、Wifi環境を通してデジタルコンテンツの視聴を実現するシステムです。受信するコンテンツの検索や選択はスマートフォンをリモコン代わりにすることも可能です。

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 ボディーは、ほぼフリスクサイズで、従来のSTBやパソコンを活用したサイネージシステムと比較すると、圧倒的な小型化を実現しています。ネット環境が無い場所でも、Stick自らをアクセスポイントにすることで、スマートフォンを使って、コンテンツの更新が可能となっていることから、設置場所、固定方法が楽になり、設置コストもほぼ必要なくなるといった革新的な製品です。


当面はテスト業務
将来的には開発拠点に

 同社では、技術開発室に開設したオフィスを、当面、同製品をベースにカスタマイズ開発したシステムのテスト業務を中心に行うこととしていますが、将来的には県内企業と共同でシステム開発が行える開発拠点に成長させたいと考えています。
 木村社長は、「東京では優秀な技術者を確保するのが難しくなっている。福井は優秀な技術者が多く、自分も地元の活性化に一役買いたいとの気持ちもある。是非、今回の入居を足がかりに福井の開発拠点の地歩を固めて行きたい」と、福井での業務展開にも意欲的な姿勢を見せています。「スマートフォン」「映像」は。これから成長が期待できる分野です。同社には、是非、新しい波をここ福井から発信していただくことを期待しています。

●事業者情報●
kimura_hideo.jpg株式会社グルーバ
代 表 者:代表取締役社長 木村幸夫
創 業 年:平成21年
従 業 員:10名(契約社員含む)
事業内容:ソフトウェア開発、STB向け組み込みソフトウェア、等
 <本社>  東京都港区南青山2-29-9
  <福井オフィス>坂井市丸岡町熊堂3-7-1-16 福井県産業情報センター 技術開発室



本記事掲載の企業とのビジネス連携をお考えの方は、同社に直接ご連絡いただくか、(公財)ふくい産業支援センター 地域産業支援部 情報化支援グループ(担当:大木、TEL:0776-67-7411)までご相談ください。

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2013.04 アジアを攻める!
<第12回>中国バイヤービジネスマッチングを開催しました

福井県産業政策課

 県では、福井商工会議所ビルの国際ホールを会場として3月19日(火)に中国バイヤーとのビジネスマッチングを開催しました。
 昨年に続き2回目の開催となった今回は、福井産品応援者バンクに登録している上海、香港のバイヤー5社が参加し、県内企業24社と個別に商談を行いました。

参加バイヤー
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 ビジネスマッチングの特徴

 今回開催したビジネスマッチングでは、開催に先立ち、現地および県内で事前マッチングを実施しました。具体的には、ふくい上海ビジネスサポートセンター(県上海事務所)、県香港事務所の駐在員が、各バイヤーの得意分野に適した県産品をそれぞれのバイヤーに紹介するとともに、バイヤーからは市場性の高い商品について情報提供を受け、売りたいニーズと買いたいニーズの摺り合わせを事前に行いました。

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ビジネスマッチングの概要

  各ブースでは、サンプルやカタログなどを使って県内参加企業のこだわり商品やアイデア商品などの売り込みが行われました。
  バイヤーからは、原材料や賞味期限に関すること(食品・日本酒)、機能性や加工技術・産地の歴史や工芸職人に関すること(インテリア用品、生活用品など)など、卸先や消費者に対する商品紹介を想定した様々な質問がなされました。
  また、現地の生活スタイルや食生活を踏まえた商品開発のアドバイスも行われるなど、現地市場に対する理解を深めていただく機会としても参加企業の皆さんに活用していただきました。


今後の展開について

 バイヤーが関心を持った商品については、今後、取引価格の確認やサンプルによるニーズ調査などが現地において行われるなど、成約を目指して商談が継続される予定ですが、販路開拓を進めるにあたっては、現地における売れ筋や価格帯、競合品の流通状況など市場の概況を、ご自身の目で確認していただくことも望まれます。
  ビジネスマッチングに参加していただきました県内企業の皆さんには、現地に乗り込んで各バイヤーとの商談を継続することもお考えいただくなど、市場参入に向けて今後も積極的なアプローチを続けていただきたく、ふくい上海ビジネスサポートセンターや県香港事務所においても現地でのサポートを継続していきます。
 なお、県においては今後も海外バイヤーとのマッチングサポートを継続するとともに、新年度からは東南アジアも対象に加えてビジネスマッチングの機会を提供してまいります。

ふくい貿易促進プラザ
TEL 0776-89-1140
FAX 0776-89-1150
email:f-plaza@fukui-kaigai.jp

ふくい上海ビジネスサポートセンター
TEL +86-21-6295-3322
FAX +86-21-6295-9922
email:fukuiken@fukui-sh.com.cn

福井県香港事務所
TEL +852-2530-0815
FAX +852-2530-0816
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福井県産業政策課 国際経済グループ
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